震災と看護師について考えた

3月11日、5年目の東日本大震災を迎えました。私は元々は東日本の住民ですが、東日本大震災の日は主人の転勤で関西にいました。

その日は平日だったので、いつも通り仕事をしていました。検温を回っていた気がします。その病院は強制的にテレビ代を徴収されていたので、寝たきりの方以外はテレビをつけている患者さんが結構いました。検温を回りながら、チラッと見たテレビに震度を表す日本地図が出ていました。緊急速報は聞かなかったので、シュミレーション番組をしているんだとしばらく気にもしていなかったのですが、3・4人目の患者さんのテレビに、さっき見たのと違う東日本の地図と巨大地震という字が映っているのを見て、違和感とすごい嫌な感じがしたのが印象に残っています。急に不安になってきちんと見てみると、実家や主人の実家、友人の住んでいる地域が震度5強や震度5弱。最大震度は震度7。大きい…。でも多分、実家のみんなに命の危険まではないだろうと思いつつ、実家に電話しました。本震から10分くらい経っていたので携帯はすでにかかりにくい状態でした。なので病棟の公衆電話から電話をしました。

瓦が落ちたり、皿が降ってきたり、ビニールハウスが倒れたりと色々ありつつも、主人の実家は無事。実家もたまたま母と妹は一緒にいて、特に大きな被害はなし。

安否確認もできたし安心して、師長さんたちとしばらく雑談してからまた検温に戻ったら、今度はテレビ画面の右下の日本地図の沿岸に赤やオレンジの線がチカチカと点灯していました。今まで北海道などの地震の時に見たことがある映像ですが、離れた地域の津波なんて気にしたこともなかったし、こんなに広範囲なのは初めて見るので、正直実感がわかなかったです。患者さんとも「なんか大げさだよね。こんなに津波なんて来るのかね?」と言っていたのですが、その後は衝撃の連続で、あまりの映像に仕事しながら吐き気が止まりませんでした。それからしばらくは職場でも、災害時に自分たちは看護師としてどうするかという話題が何度も出ては、答えが出ぬまま終わるというのが繰り返されました。

 

テレビで患者さんを助けようとして津波にのまれて亡くなった方の報道もありましたよね。自分はそうできるだろうか。自分の危険を犯してまで私は患者さんを助けようとするんだろうか。患者さんたちは大切だし、助けられるなら助けたいけど。どっちも助かるならともかく、自分が死ぬのも嫌だし、助けられなかったらきっと一生自分を責めて生きていくんだろうと思うと、どっちも苦しい選択です。被災した病院や施設の職員さんや、小学校や保育園の先生たちはどう感じ、どう行動したんでしょうか。

 

私たち看護師は病院にいる以上、患者さんを守らなくちゃいけません。私がいままで勤務中に来た地震は震度3程度。すぐに各病室を回って、「異常なし!」で終わり。それ以上の、避難を要する地震や津波に関してはまったく想像がつきません。今の職場は海が近いので、もしかしたら津波も来るかもしれません。

 

考える暇もないでしょうから、こんなに不安がっている私でも、おそらく初期の避難に関しては必死にやるとは思います。でも、初期避難が終わったら、家族のことが気になってしまい、安否確認できるまでは他のことはどうでもよくなってしまう気がして。最後まで患者さんを守れりきれるかとても不安なんです。

 

それに初期避難はやるだろうとは言ってみたものの、今は一階に次男君を預けていますから、ひょっとしたら患者さんを放り出してまずは自分の子のところへ走ってしまう気もするんです。そして、帰れる状況ならそのまま長男君の元へ戻りたくなる気がする。看護師なのに非情だなと自分でも思うけど。看護師の前に、母なんだもの。

 

それに、始めだけでなく、その後の看護師としての行動も、どうすべきか難しいんです。東日本大震災から1週間ほどして、原発の関係で次々と被災地を去る看護師さんたちがいて、残っている人たちが必死にやっている姿を美談というか、そういう感じで報道されているのを見ました。一般の人には逃げた看護師さんたちが非情に映るかもしれません。でも私はどうしてもその人たちを責める気持ちは起きませんでした。私も多分そうしてしまうから。

 

きっと家族の安否が確認できたら、次は欲が出て家族の安全を確保したくなる。そして、側にいて子供たちの不安を取り除いてあげたくなる。家族と離れたくなくなると思うんです。でも、医療現場はたくさんの人が助けを必要としています。なんちゃってナースとはいえ、一般の人よりも知識はあるし、きっとやることは山ほどあると思います。看護師である以上、やはり災害時は医療現場に戻らなくてはならないんでしょうか。災害時には医療関係者には「逃げる」「何もしないで家族といる」という選択肢は許されにくいんでしょうか。

 

あの震災以来、時々災害時の自分の役割について考えるようになりました。でも、まだ答えは出ず。次男君も生まれて問題はより複雑になりました。守るものが増えたので。なんだか想像するだけでもしんどい問題です。


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